映画『エクス・マキナ』感想

AmazonPrimeがシルバーウィークセールで安くレンタルしてると言うので、忙しいのにどうしてくれんだと思いながら観てしまいました。結果として、見入ってしまいました。ストーリーと映像美がとにかく良くて終始夢中になりました。

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https://youtu.be/D9UOrMgCfSs

あらすじ

ブルーブックは検索エンジンの世界トップシェアを誇る企業。

ブルーブックの社長ネイサンは社員の中から抽選で自宅に訪問する権利を与え、プログラマーとして働くケイレブが当選した。

ケイレブがネイサンの自宅としてヘリコプターで送迎されたのは自宅ではなく、研究施設であり、彼らが一緒に行うのはAI(人工知能)のチューリングテストだった。

本作でのチューリングテストとは、機械が機械の姿であっても人間性を感じるかどうかのテストのこと。

テスト対象のAIエヴァは女性AIであり、非常に高い知性を持っていた。姿形こそロボットであるが、ケイレブはエヴァとテストを毎日行ううちに、「彼の言うことを信用しないで」というエヴァの言葉からネイサンに不信感を持ち、「私と友達になりたい?」というエヴァからの問いかけにより、エヴァへの好感がどんどん高まっていった。

 

感想

物語は終始暗く、あまり明るい気持ちになる映画ではありません。登場人物(AIも含む)も4人で、場所もほぼずっと研究施設です。

ただし、物語構成がかなり精密に作られており、SF作品ということもあって映像がかなり近未来的でリアル且つ綺麗です。なんと言っても、ラストの展開が途中までの流れからは想像できなかったぐらい衝撃すぎるので、思わず「えええ」とひとりで言ってしまうほどでした。

また、数少ない登場人物の中で、日本人AIキョウコが登場します。めっちゃ綺麗なのですが、言葉がしゃべれずにネイサンやケイレブのお世話係として動いています。日本人が採用されるというのはとても光栄なことではありますが、海外から見た日本人観が”綺麗だけどしゃべれないお世話をしてくれる(メイド的な)存在”ということなのかなぁと勝手に深読みをしながら観ていました。

個人的には、ネイサンのセリフが物事の真相をついているような気がして、悪役ながら好きでした。途中、メアリーの部屋という思考実験の話も登場して、これも物語の鍵となるのですが、勉強にもなりました。

最後は本当に悪役なのは誰か分からなくなる感じもありましたが…。

 

検索エンジンは人間の思考形態そのものだ

研究施設でネイサンがケイレブに対してAIの理論を説明するセリフです。なんだかこのセリフは映画の中だけでなく、リアルな僕たちが生きる世界でも通用するわけであって、ブルーブックではなくGoogleが言っててもおかしくないなと感じてしまいました。

 

難しいのは自動的に描くことではなく、自動ではない行動だ。絵を描くことも呼吸も話すこともファックも恋愛もだ

人の好みは生まれつきの性質と環境で決まることを絵を描くことを例として説明するネイサンのセリフです。

”僕に恋するように設定しましたか?"

と問うケイレブに対しての答えであって、的を得た納得できる回答だったと思いました。

”自動的に描くから描けるのであって、描くときになぜ描くのかを考えないと描けないとしたらどうか?”

IT長者であるネイサンから論理ではなく、物事の性質なのだという説明を受けると非常に納得できるものがあります。

 

 

私は世界を滅ぼす死神となった

原爆の父オッペンハイマーの言葉を借りたケイレブのセリフです。ネイサンからAIについての説明を受けたケイレブは起こり得る未来に絶望して発言します。

 

まとめ

この映画で監督のアレックス・ガーランドがAIと人間の共存世界に警鐘を鳴らしているのかどうかはともかくとして、恐ろしい世界が登場するかも知れないと実感するのには十分な内容でした。

途中停電のシーンが何度かあって、画面全体が非常事態を表す赤になるところなど画が怖いシーンがいくつかあるのですが、リアルさが伝わってきて十分に楽しめました。(ホラーではないと思いますが、映画を観て楽しい気分になりたいという方には向いていないかもしれないです…)

どんどん姿形が変わって美人になっていくAIエヴァと終始妖艶な雰囲気を醸し出しているAIキョウコに注目して観るのも面白いかもしれません。