信用創造が重要な社会へ|『CardWave(2019.05・06)』
キャッシュレスが便利であることには変わりありませんが、その先にはどういう世界が待ち受けているのでしょうか。
「信用」という言葉が、キーワードでした。
アリババ経済圏でも、「信用創造がすべて」のような社会が創り上げられているということは伺いましたが、日本でもそんな日が近々来るのでしょうか。
ポイント
- 登録不要で「ツケ払い」が可能に
-
キャッシュレスは信用を創る
登録不要で「ツケ払い」が可能に
「ツケといて!」なんて昔ながらの言葉を馴染みの店で使った人はどれほどいるのでしょうか。
最近、ZOZOがツケ払いを可能にしたことで話題となっていましたね。
そのツケ払いが電話番号を伝えるだけで、登録不要になったとのことです。
もうすでにアプリすらもいらなくなってしまったんだな…という衝撃がありました。
Coineyという決済アプリをご存知でしょうか。
もともと、クレジットカードやQRコード決済などのサービスを提供してきた会社です。この会社が、ZOZOの「ツケ払い」とガルディアの与信システムを使って登録不要のツケ払いを可能にしました。
与信システムって、人にいくらまで貸せるとか、この人は危険だから貸しちゃいけないというのを判断する仕組みだと思っていましたが、電話番号だけで判断できちゃうんですね、今って。
ツケ払いがどういう仕組みかというのを、簡単に図にしました。
まず、支払いする人は「ツケ払いで!」と言います。
そうすると、店員さんが支払金額を入力するので、ユーザーが端末に電話番号を入力します。
ユーザーの携帯端末にコイニーからのメッセージが届くので、承認すると支払い完了です。
登録がなく、とても簡単ですので店舗側にもユーザー側にも障壁がほとんどないことがすごいところだと思いました。QRコード決済などは、とても便利な半面、クレジットカードや銀行口座の登録など、多少は最初に面倒くさいことを入力する必要がありました。
まずは、やってみるということがこれほど手軽にできてしまうとは…。
ただし、この決済方法の課題は支払い時間にあります。
支払いをするユーザーは登録が不要なため簡単ですが、実際はQRや電子マネーの方が支払いにかかる時間はかなり短いです。そのため、コンビニなどでの支払いには向いておらず、単価が高くてレジの回転率が低い業態にマッチする決済方法でした。
キャッシュレスは信用を創る
キャッシュレスということは、信用を見える化することにもなります。
キャッシュレスにするということは、個人のデジタルアカウントでお金をやり取りすることになります。つまり、今まで現金で不透明であったお金の動きがデジタルに記録されていくということになります。
これによって、家計での支出や収入も可視化することができるようになり、今までしてこなかった投資をより積極的に推進することができるようになりました。
また、今までは預金や資産の総額が、その人の信用となっていましたが、今はそれに加えてお金の出入りの意味によって、信用が蓄積されていくようになりました。
その理由は、シェアリングエコノミーや副業などで給与以外の収入も増えてきたためです。どんな活動をして収入を得たのかもわかるようになり、「活動データ」が信用につながる日がすぐそこに来つつあるということでした。
ポイント
- 登録不要で「ツケ払い」が可能に
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キャッシュレスは信用を創る
CardWaveは、決済事業者向けの本ではありますが、素人の僕が読んでも知らないことだらけでとても深い学びがありました。この号でいうと、KyashやカンムなどのFintechベンチャーと言われる会社のインタビューや、りそなのプラットフォームの公演も載っていて、とても興味深い雑誌でした。
決済事業者の方には、もちろんですが、これからの世の中の流れを知りたい好奇心旺盛な方々には是非オススメの雑誌でした。