これからのコンサルのあるべき姿|『AI時代のコンサル業界消えるファーム、生き残るファーム』

コンサルタントのイメージってプレゼンとかでかっこよくビシッと提案して、高い報酬をもらってめっちゃ忙しいみたいなイメージありませんか?

上記の一般的に描きがちなイメージは、コンサルファーム次第では当たったり外れたりなのですが、これから生き残っていくコンサルタントのイメージとは、今は違ってきているんですよ、これから生き残るコンサルっていうのはね…っというようなことを書かれている本があったので読んでみました。

著者は、中国発のコンサルティングファームであるパクテラ・コンサルティング代表取締役を務める藤井秀樹さん。母体が中国にある会社の日本法人社長なだけに、最先端の技術への知見が深く、それをどうクライアントへ提供するのかまで考え込んでこられた実績があります。

コンサルがAIに比べて優位なことに対して、「共通理解を生み出すこと」「情熱」と回答されていて、もちろん的を得ているとも感じましたし、コンサルタントでありながら人間味(人間力)を重要視されている考えや文章が含まれています。

ポイント

変化するコンサルタントの役割

冒頭にも述べたとおり、コンサルタントの役割は時代とともに変化しているようです。

従来は、クライアントへ提言・助言などをプレゼンテーションするような戦略系の業務内容が求められていました。

これからは、提言をした後に実行支援まで行うことができるITコンサルタントが求められています。

なぜそうなるかというと、自分の解釈ですが3つ理由があると感じました。

  1. クライアントがコンサルタントに対して「変革エンジン」としての役割を求めており、クライアントの利益をあげるための実現可能性を検証するための橋渡しをしてほしいから。
  2. 実行支援を行う方が、稼働率が高いから。プロジェクトの期間はそれぞれではありますが、戦略系は稼働率が約30%、IT系は70%ほどのようです。コンサルフィーにも影響するかと思いますが、稼働率が2倍以上も離れている点で、人材の稼働率を上げてアサインし続けることができるITコンサルファームの方が経営上は健全のように見えます。
  3. インターネットの発達によって、情報自体の価値が落ちているため。コンサルタントが増え、情報も増えた現在となって、情報自体にはあまり価値がありません。そこで、クライアントの人材不足を補ったり、一緒になって仕事を行うような優秀なITコンサルタントが求められつつあると感じます。

 

部分最適ではなく、全体最適を行うこと

部分最適を行うというのは、名前の通りですが、クライアントの一つの部署だけを改善するだけで会社全体としては改善しなかった結果、他の部署との課題が発生することや、部署の中でもある特定の課題のみを改善することによって、他のシステム間での連携がうまくいかなくなることを指していると読み取りました。

これの何がいけないのかと言うと、「お客様の言う通りの課題は解決しましたので、後はよしなに」というスタンスになりがちであるからです。※もちろんすべてがそうというわけではありません。

例えば、RPAを導入したいと言われた際には、その導入までを行うことが部分最適にあたり、導入から運用してKPIを達成することを確認するまでを全体最適であり、これが正しい姿であると述べています。

これって当たり前じゃないか?と読んでいて一瞬思いました。

しかし、コンサルタントも会社員です。会社員は、より短時間で目に見える成果を上げることを目標に動くことが多いと思います。つまり、言われたことだけ、契約した内容だけを達成することを目標として、お客様目線がかけることが多いのです。

そもそも、契約をする段階で全体最適するようになっていないことが問題であったりもします。仕事において、お客様目線を養うことがいかに大切かということを学びました。

コンサルタントの個々人が高い目標を持つこと

「世の中の変革エンジン」としての役割があるにも関わらず、個々のコンサルタントにはその意志があまりないケースもよくあると書いてあります。

その理由としては、上述したように、それでも十分儲かるから、個々人としての収入も多いからです。

高い意識でゴール設定した方が人生は楽しいと著者は述べています。「ワークライフバランス」という言葉も「仕事」と「それ以外」を分けるという考え方をせずに、バランスをとるという概念が自身にマッチしていないと記載がありました。楽しいと思えるような環境をマネジメント層は創っていくことが求められています。

また、結果を出すためには2つの考え方があり、印象に残りました。

1.知行合一:ただ知っているだけではなく、実践して結果が伴うようになって初めて本当の意味で「知っている」と言うことができます。真剣に結果を求めるのであれば、自分たちだけでなく、外部のリソースを活用することがポイントです。

2.知好楽:これは文章そのものにアツいものを感じたので、そのまま引用します。

必要な知識やスキルを身につける「知」。仕事を賢明にする中で自分の仕事が好きになる「好」。仕事を覚え、やれることやりたいことが増えるほど大変さは増すものの、その状態を楽しむ「楽」。「やらなければならない」とネガティブになるのではなく、そういう状況にチャレンジしていけること自体を楽しめる人であってほしい。

また、クライアントにやってみようと思わせるような「人間力」が必要であり、そのためには「他責思考」をやめることが重要です。自分のコントロール外のことで「このせいでできない」「このために難しい」と理由付けをやめることが人間力を向上させるポイントです。

ポイント

 

本書は、上記の内容に加えてより詳細な事例であったり、今後の生き残るコンサルタントについて幅広く記載があります。

コンサルタント業界の方にも、コンサルタントって何やっている人なの?という方にも、万人が分かるような内容であり、ページ数も多くない手軽な本となっていますので、是非お手にとって読んで見てほしいです。